NHO Hakodate Medical Center
外科

患者さん一人ひとりに寄り添い、消化器疾患・がん治療・低侵襲手術まで、地域で安心して受けられる外科医療を提供します。

外来診療担当表

月 火 水 木 金
午前 鈴置 大原 武内 大原 岩代
– – – 大腸肛門外来
小林
–
午後 鈴置
(予約制)
ヘルニア外来
ストーマ外来
山田
13:30~14:30
(毎月第2・4週)
– – 隔週
丹羽
13:00~15:00
隔週
山田
13:00~15:00

当科の特色

幅広い外科診療に対応しています

消化器疾患を中心に、腹部救急疾患から一般外科疾患まで幅広く診療しています。
患者さん一人ひとりの病状や生活背景に合わせ、手術をはじめとした最適な治療を提供しています。
各関連学会指導医・専門医が複数名在籍しており、専門性を生かした診療を行うとともに、診療の質・手術の質の向上に努めています。

がん治療にも幅広く対応しています

当院は北海道がん診療連携指定病院として、質の高いがん診療の提供に努めています。
手術に加え、抗がん剤治療、分子標的治療、免疫チェックポイント阻害薬などによる薬物療法や、放射線科と連携した放射線治療を組み合わせた「集学的治療」を行い、患者さん一人ひとりの状態、症状に応じた治療方針を提案しています。
また、日本食道学会認定 食道外科専門医認定施設として、食道がんの専門的な診療にも力を入れています。
食道外科専門医2名が在籍し、胸腔鏡・腹腔鏡を用いた低侵襲手術を積極的に行うとともに、薬物療法や放射線治療を組み合わせ、病状に応じた治療を行っています。

身体への負担を抑えた鏡視下・ロボット支援下手術

患者さんの身体への負担をできる限り軽減するため、胆のう結石症、虫垂炎、鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニアなどの良性疾患だけでなく、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵腫瘍などの悪性疾患に対しても、腹腔鏡や胸腔鏡を用いた鏡視下手術を積極的に行っています。
さらに、2024年3月には手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」を直腸がん手術に導入し、その後、食道がん、胃がん、結腸がん、鼠径ヘルニアへと適応を拡大しています。
ロボット支援下手術では、関節機能を備えた手術器具により、人の手では難しい細かな操作を高い自由度で行うことができます。
また、鮮明な3D画像による立体的な視野や手ブレ補正機能を活用することで、より繊細で精密な手術操作が可能となります。
当科では、こうした最新の技術を活用しながら、患者さんの身体への負担を軽減し、安全で質の高い手術の提供に努めています。

ヘルニアセンターを開設しています

2024年8月に「ヘルニアセンター」を開設しました。成人のヘルニア(脱腸)は自然に治ることはなく、根本的な治療には手術が必要です。
当院では専門外来を設け、患者さんの状態や症状、生活背景などを踏まえて、一人ひとりに適した治療方法を提案しています。
鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニア(手術の傷あとにできるヘルニア)などに対しては、身体への負担が少ない鏡視下手術を積極的に行っています。

症状や治療についてご不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
患者さんが安心して治療を受けていただけるよう、スタッフ一同、丁寧でわかりやすい診療を心がけています。

認定関連施設

  • 日本外科学会指定施設
  • 日本消化器外科学会 専門医制度指定修練施設
  • 日本消化器病学会関連施設
  • 日本大腸肛門病学会関連施設
  • 日本胸部外科学会関連施設/修練施設(食道)
  • 日本食道学会 食道外科専門医認定施設
  • 日本外科感染症学会 周術期感染管理教育施設
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医認定研修施設
  • 日本乳癌学会関連施設

医師紹介

特命副院長

小林 (こばやし)   建司 (けんじ)

FIELD

専門分野
  • 消化器外科(大腸・肛門領域)

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医
  • 日本大腸肛門病学会専門医・指導医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科(大腸))
  • 日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター(消化器・一般外科(大腸))
  • 日本ロボット外科学会 Robo-Doc Pilot 国内A級
  • 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士
  • がん治療認定医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • 日本化学療法学会・抗菌化学療法指導医

CAREER

経歴
  • 1986年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
  • 1986年5月 刈谷総合病院
  • 1989年4月 愛知県がんセンター
  • 1991年4月 国立がん研究センター中央病院
  • 1991年7月 名古屋市立大学病院
  • 1998年9月 掛川市立総合病院
  • 2004年6月 刈谷総合病院
  • 2005年10月 松波総合病院
  • 2017年4月 刈谷豊田総合病院
  • 2025年10月 国立病院機構函館医療センター 特命副院長

統括診療部長

小室(こむろ)   一輝(かずてる)

FIELD

専門分野
  • 一般外科
  • 乳腺科

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会認定医・専門医
  • 日本乳癌学会乳腺認定医
  • マンモグラフィ読影認定医

CAREER

経歴
  • 1994年3月 北里大学医学部 卒業
  • 1996年 NTT東札幌病院
  • 1999年 北大附属病院
  • 1999年 今井外科病院
  • 2000年 斗南病院
  • 2003年10月 国立病院機構函館病院 外科
  • 2022年4月 国立病院機構函館病院 現職

第一外科部長
感染症診療部長

鈴置 (すずおき)   真人 (まさと)

FIELD

専門分野
  • 消化器外科(食道外科、肝胆膵外科)

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会外科専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
  • 日本食道学会食道外科専門医・食道科認定医
  • 日本外科感染症学会外科周術期感染管理認定医・教育医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • 手術支援ロボットda Vinci Certificate取得

CAREER

経歴
  • 1995年3月 北海道大学医学部 卒業
  • 1995年 函館赤十字病院
  • 1996年 函館市医師会病院
  • 1997年 旭川赤十字病院
  • 1998 北海道大学病院
  • 1999 旭川赤十字病院
  • 2002年6月 北海道大学大学院博士課程修了
  • 2002年 医療法人 清田病院
  • 2007年 北海道大学病院
  • 2008年 函館赤十字病院
  • 2018年 国立病院機構函館病院 外科医長
  • 2022年4月 国立病院機構函館病院 現職

外科医長

山田 (やまだ)   徹 (とおる)

FIELD

専門分野
  • 消化器外科

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 日本内視鏡学会技術認定医(消化器・一般外科)
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 手術支援ロボットda Vinci Certificate取得
  • Robo-Doc Pilot認定 国内B級
  • Fundamental Use of Surgical Energy (FUSE) 取得
  • 検診マンモグラフィ読影認定医
  • 医学博士

CAREER

経歴
  • 2011年3月 北海道大学医学部 卒業
  • 2011年4月 NTT東日本病院
  • 2013年4月 北見赤十字病院
  • 2014年4月 伊達赤十字病院
  • 2015年4月 北海道大学病院
  • 2018年4月 恵佑会札幌病院
  • 2019年4月 市立旭川病院
  • 2023年10月 愛育病院
  • 2025年4月 国立病院機構函館医療センター 外科医長 現職

外科医長

武内(たけうち)   優太(ゆうた)

FIELD

専門分野
  • 消化器外科

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 手術支援ロボットda Vinci Certificate取得

CAREER

経歴
  • 2013年3月 旭川医科大学 卒業
  • 2015年4月 旭川赤十字病院 外科
  • 2016年4月 伊達赤十字病院 外科
  • 2017年4月 北海道大学病院 消化器外科
  • 2020年10月 帯広厚生病院 外科医長
  • 2026年4月 函館医療センター 現職

外科医長

丹羽 (にわ)   弘貴(ひろき)

FIELD

専門分野
  • 消化器外科

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 外科専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科)
  • 日本遺伝子細胞治療学会認定医
  • 手術支援ロボットda Vinci Certificate取得

CAREER

経歴
  • 2014年3月 北海道大学医学部 卒業
  • 2014年 帯広厚生病院
  • 2017年 恵佑会札幌病院
  • 2018年 北海道大学病院
  • 2021年4月 国立病院機構函館病院 現職

診療顧問

岩代(いわしろ)   望(のぞむ)

FIELD

専門分野
  • 呼吸器外科

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会認定医・専門医・指導医
  • 日本呼吸器外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会認定医
  • 日本乳癌学会認定医
  • マンモグラフィ読影認定医
  • インフェクションコントロールドクターICD(日本救急医学会推薦)
  • がん治療認定医
  • 日本外科感染症学会外科周術期感染管理教育医・認定医
  • 日本旅行医学会認定
  • JATECプロバイダー

名誉院長

大原 (おおはら)   正範 (まさのり)

FIELD

専門分野
  • 消化器外科(食道外科、肝胆膵外科、胃大腸癌)

CREDENTIALS

専門医・資格等
  • 日本外科学会認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会指導医
  • 日本食道学会食道外科専門医・食道科認定医
  • がん治療認定医
  • 難病指定医

CAREER

経歴
  • 1985年3月 北海道大学医学部 卒業
  • 1985年 北大附属病院
  • 1990年 国立がん中央病院 レジデント
  • 1993年 恵佑会札幌病院 外科部長
  • 1999年6月 国立病院機構函館病院 外科
  • 2014年4月 国立病院機構函館病院 院長
  • 2022年4月 国立病院機構函館病院 特別院長

大腸肛門外科

当科では、大腸(結腸・直腸)・肛門の病気に対して、専門医が一貫して診療・手術を行っています。
大腸がんから痔まで幅広く対応し、患者さんに寄り添った治療を大切にしています。

1.当科で診療している主な病気

  1. 大腸がん
  2. 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
  3. 直腸脱
  4. 肛門疾患(痔、痔瘻など)

症状が気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。

2.病気ごとの治療の進め方

1)大腸がんの治療

当科では下記の通り大腸癌治療ガイドライン(大腸癌研究会編)に基づき、患者さん一人ひとりに最適な治療方針を決定しています。

当院で内視鏡検査施行した時の流れ
当院で内視鏡検査施行した時の流れ
他院で内視鏡検査実施済みで手術適応と判断され紹介された時の流れ
他院で内視鏡検査実施済みで手術適応と判断され紹介された時の流れ

2)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)

内科的治療が進歩した炎症性腸疾患ですが、以下の場合は外科的治療が適応になることがあります。

  • 内科的治療に抵抗性の場合。
  • 中毒性巨大結腸症(結腸が急激に拡張し危険な状態)など。

最近は高齢者発症の潰瘍性大腸炎も増えてきています。
若年者であれば肛門温存の大腸全摘を選択しますが、肛門機能が期待できない高齢者の方には大腸全摘術と小腸での人工肛門を選択することもあります。
患者さんの生活スタイルやお仕事の状況を伺いながら、最適な術式を一緒に決めていきます。

3)直腸脱

まず排便習慣を整え、便秘が改善してから手術を行います。

  • 脱出が4-5㎝までの方:Delorme手術(肛門側から直腸粘膜を切除し縫い縮める手術)
  • 4-5cm以上の方:腹腔鏡による直腸固定術

全身麻酔が必要なため、安全に手術ができるか事前に評価します。

4)肛門疾患(痔核、痔瘻)

  • 内痔核(いぼ痔)
    • まずは軟膏での保存治療
    • 脱出や出血を繰り返す場合は手術
      →外痔核は切除し内痔核に対しては硬化療法(ジオン®)も併用。
      できるだけ負担の少ない治療を行います。
  • 痔瘻
    • 急性期は切開排膿を行います
    • 炎症が落ち着いてからシートン法(ゴム糸を用いた治療)
      →時間は掛かりますが傷を小範囲にすることで肛門機能温存を重視します

3.当科が選ばれている理由

当科では以下の資格を持つ医師(小林建司)が全ての大腸肛門疾患を担当します。

  • 大腸肛門病学会専門医・指導医
  • 内視鏡外科学会技術認定医
  • ロボット手術指導医(プロクター)
  • ロボット外科学会専門医

当院の大腸癌手術件数は年間80件程度の手術件数ではありますが、今まで長年大腸癌治療に携わってきた大腸専門医が早期がんから進行がんまで幅広く対応しています。
切除不能の進行がんに対する抗がん剤治療も一貫した治療を提供できることが強みです。
また、当院は最新の放射線治療機器を備えており、局所進行直腸がんに対しては放射線治療を併用することで、局所再発の軽減を目指しています

4.治療実績

当院では2024年3月ダヴィンチXiを導入しました。
2025年10月以降はロボット手術の割合が増え2026年は3月までは全てロボットで対応しています。

  • 開腹移行:0件
  • 合併症:軽度のみ(麻痺性腸閉塞5例、乳び腹水3例)
    入院期間が数日延長する程度で重篤な合併症はありません

2024年3月以降の大腸がんに対するロボット手術の割合を示します。

治療実績

当院のロボット手術1)の実績はまだまだ数十例と少ない件数ですが、2025年10月以降全てのロボット大腸手術に小林建司が担当医として関わりますので安心して手術を受けていただけると思っています。
肛門近傍の直腸がんに対する肛門温存術は術後の排便状態で不便さも出ますので(低位前方切除症候群)、ただ単に人工肛門にならなくて済むというだけではなく一人ひとりの生活スタイルや仕事の内容などよく患者さんと相談し肛門温存術を行っています。

1)ロボット大腸手術とは

当院が導入しているダヴィンチXiは、4本のアームを持つ手術支援ロボットです。

ロボット手術の特徴
  1. 高解像度の3Dカメラ
  2. 人の手以上に曲がる多関節鉗子
  3. 手振れ防止機能による安定した操作
これらにより、狭い骨盤内での直腸がん手術において
  • 肛門温存率の向上
  • 3年無再発生存率の改善
が期待されています。

結腸がんに対しても腹腔鏡と同等の成績で、術後の痛みが少ない という利点があり私たちは積極的に全ての大腸癌患者さんにロボット手術を適応としています。

ロボットの先にあるのは、外科医の経験と判断力

現在、函館市内では手術支援ロボット「ダヴィンチ®」が4施設で計5台稼働しています。
しかし、本当に重要なのはロボットを持っていることではありません。ロボットをどう使いこなし、患者さんにとって最善の治療につなげるかです。
函館医療センターでは、食道がん、胃がん、大腸がんに対するロボット支援手術を日常診療として行っています。
なかでも大腸がん治療は、長年にわたり大腸外科を専門として診療を続け、開腹手術、腹腔鏡手術、そしてロボット支援手術へと進化してきた外科医療の最前線を歩んできた小林が担当しています。
ロボットは優れた機械ですが、手術の成否を決めるのは機械ではありません。ロボットが手術をするのではなく、患者さんを治すのは、その先にいる外科医の経験と判断力です。
患者さんの状態を見極め、術中に起こるさまざまな状況に対応し、最適な判断を下す外科医の知識、技術、経験こそが最も重要です。
だからこそ函館医療センターは、「ロボットがある病院」ではなく、「ロボットを使いこなせる外科医がいる病院」として高度ながん治療を地域で完結できる体制を整え、渡島地域の皆さまが安心して治療を受けられるよう、大腸がん治療にこれからも積極的に貢献してまいります。

5.患者さんへ

大腸や肛門の病気は人に相談しづらく一人で悩んでしまう方が多い領域です。
当科では、気軽に相談できる雰囲気づくりを大切にしています。不安なことがあれば遠慮なくお話しください。
患者さんにとって最適な治療を一緒に考えていきます。

当科の食道がん治療

当科の食道がん手術実績

2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
手術件数 11 14 8 8 11

食道がんの治療

食道がんは、口から胃へ食べ物を運ぶ「食道」にできるがんです。
初期のうちは症状が出にくいことがありますが、進行すると食べ物がつかえる、飲み込みにくい、体重が減るなどの症状がみられることがあります。
食道のまわりには心臓や肺、気管、血管など大切な臓器があるため、検査結果をもとに、患者さんに合った治療を慎重に選ぶことが大切です。
食道がんの治療は、がんの進み具合(ステージ)や広がり、患者さんの体の状態、ご希望などをふまえて決めていきます。
早期に発見された場合には、食道を残すことができる内視鏡治療を選択できることがあります。
進行した場合でも、手術、薬物療法、放射線治療などを組み合わせ、患者さん一人ひとりの状態に応じた治療を行います。

治療方針の決め方

治療を始める前に、内視鏡検査やCT検査などを行い、がんの場所や広がりを詳しく調べます。
必要に応じて、さらに詳しい検査を行うこともあります。
その結果をもとに、患者さん一人ひとりに適した治療方針を検討します。

主な治療法

内視鏡治療

ごく早期のがんに対して、口から内視鏡を入れ、がんの部分を切除する治療です。体への負担が比較的少なく、食道を残すことができます。

手術

がんのある食道を周りのリンパ節とともに切除し、胃や腸を使って食べ物の通り道をつくり直す治療です。
がんを取り除き、治すことを目指します。
鏡視下(胸腔鏡、腹腔鏡、ロボット)による低侵襲手術が推奨されています。

薬物療法

薬を使って、体の中のがん細胞に働きかける治療です。
従来の抗がん剤(化学療法)に加え、体の免疫の働きを利用する免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法)を用いることがあります。
手術の前に行う場合や、切除が難しい進行がん・再発がんに対する治療として行う場合があります。

放射線治療

放射線をがんに照射して治療します。抗がん剤治療と組み合わせた「化学放射線療法」として行うこともあります。

緩和ケア・支持療法

痛み、食事のつかえ、体重減少などの症状や、治療に伴う不安をやわらげるためのケアです。
治療中から治療後まで、生活の質を大切にしながら支援します。

ステージ別の治療の目安

ステージ がんの広がり 主な治療 治療の考え方
0期 食道の表面近くにとどまる、ごく早期の段階です。 内視鏡治療(ESD・EMR) 内視鏡でがんの部分を切除します。
体への負担が少なく、食道を残せる治療です。
I期 食道の壁の少し深いところまで広がる、比較的早い段階です。 手術または化学放射線療法 治癒を目指します。
体力、持病、食道を残したいというご希望などをふまえて相談します。
II・III期 食道の壁の深い部分、または周囲のリンパ節に広がっている段階です。 術前に化学療法→手術
手術が困難な場合や希望されない場合は、化学放射線療法
手術可能な場合は、まず抗がん剤治療を行い、その後に手術します。
手術が難しい場合は化学放射線療法を検討します。
IVA期 周囲の重要な臓器まで広がり、切除が難しいものの、離れた臓器に転移がない状態です。 化学放射線療法 薬物療法と放射線治療を組み合わせ、治癒を目指します。
病状や体の状態に応じて検討します。
IVB期 離れた臓器やリンパ節に広がっている状態です。 薬物療法(化学療法・免疫療法など)
放射線治療
症状をやわらげる治療
薬物療法を中心に進行を抑えます。
薬物療法には、従来の抗がん剤のほか、免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせることがあります。
食事のつかえや痛みには放射線治療などを組み合わせることがあります。

※ステージは治療方針を考えるための目安です。同じステージでも、がんの場所や広がり方、患者さんの体の状態、ご希望をふまえて、治療方針を決めていきます。

当科の食道がん診療

当科は、日本食道学会認定 食道外科専門医認定施設であり、食道外科専門医が2名在籍しています。
食道がんに関する専門的な知識と技術を持つ医師が診療を担当しています。
当科では、患者さんの体への負担をできるだけ少なくしながら、安全で質の高い治療を目指しています。
手術が必要な場合には、胸腔鏡や腹腔鏡、ロボット支援下手術などの低侵襲手術を含め、標準治療をベースに患者さん一人ひとりの病状や全身状態に応じた手術方法を検討します。
食道がんの手術は、首・胸・お腹にわたることもある大きな手術です。そのため、手術前から栄養管理、呼吸リハビリテーション、口腔ケアなどに取り組み、合併症の予防と術後の早期回復を目指しています。
また、医師だけでなく、看護師、管理栄養士、リハビリテーションスタッフなどの多職種が連携し、治療前から退院まで、患者さんが安心して治療を受けられるようサポートしています。

受診・ご相談について

食道がんと診断された方、食道がんの疑いがあると言われた方、治療方針について詳しく相談したい方は、外科外来へご相談ください。
現在の検査結果や体の状態を確認しながら、どのような治療が考えられるかをわかりやすくご説明します。

ヘルニアセンター

当科のヘルニア(鼠径部、腹壁)手術実績

2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
手術件数 39 42 32 56 57

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは、一般的に“脱腸”とも呼ばれ、お腹の壁(腹壁)が弱くなり、足の付け根(鼠径部)から内臓が飛び出した状態をいいます。
お腹の壁は皮膚や脂肪、筋肉、腹膜などで構成されていますが、この腹膜が袋状になって外側に押し出され、その中に腸などの内臓が入り込んでしまうことで起こります。
初期段階でははっきりとした膨らみがなくても、足の付け根に痛みや違和感が現れる場合があります。
成人の鼠径ヘルニアは自然に治ることがなく、治療は手術が基本となります。
鼠径ヘルニアは良性の病気ですが、放っておくと飛び出た臓器が戻らなくなる“嵌頓(かんとん)”という状態や、腸の血の巡りが悪くなって穴が開く“穿孔(せんこう)”という危険な状態を引き起こすことがあるため、適切な診断と治療が非常に重要です。

鼠径ヘルニアとは

安全性と低侵襲の両立を目指した腹腔鏡下手術を実施

当院では、患者さんの体への負担を減らすべく、腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)(TAPP(タップ)法)を積極的に採用しています。
これは、お腹の中から腹膜を切開・剥離(はくり)し、ヘルニアの穴を人工の網(メッシュ)で覆って修復する術式です。
TAPP法の利点として、

  1. お腹の中からヘルニアの穴を直接確認でき、様々な状態のヘルニアに対応がしやすい
  2. 反対側のヘルニアの有無も観察することができ、両側のヘルニアであった場合には一度の手術で両側とも修復することが可能である
  3. 体表から修復する従来法(鼠径部切開法)よりも再発率が低い(1.0〜2.0%程度)

などが挙げられます。
ただし、全身麻酔が必要となるため、患者さんの年齢や持病などのリスクを慎重に考慮したうえで実施を検討します。

当院では、術後、長期的に続く痛み(慢性疼痛(まんせいとうつう))の発生予防のため、タッカー(メッシュを固定するための鋲(びょう))を必要としないメッシュ(Self-Fixating Mesh)を採用しています。
術後の再発を防ぐためには、メッシュの端が折れ返らないよう、きれいに広げることがとても重要ですが、そのためには熟練した技術が欠かせません。
私自身は、これまでTAPP法によるヘルニア修復術を数多く経験させていただき、同術式による申請で、消化器・一般外科領域の内視鏡技術認定医資格*を取得しました。
一人ひとりの患者さんに寄り添い、これまでの経験を生かした丁寧な手術を通じて、健やかな生活を取り戻すお手伝いができればと考えています。

*日本内視鏡外科学会 技術認定取得者

手術支援ロボットを用いた鼡径ヘルニア修復術を導入(2026年8月より)

ロボット支援鼠径ヘルニア修復術が、2026年6月より保険適用となりました。
当院では、かねてよりロボット支援鼡径ヘルニア修復術(R-TAPP法)の導入に向けて準備を進めており、2026年8月より導入いたしました。
ロボット手術によって得られるメリットは、以下の通りです。

  1. 高精細な3Dカメラで、体の中を立体的に確認しながら手術ができる
  2. 多関節を有した鉗子(手術器具)によって、従来の腹腔鏡手術よりもさらに繊細で確実な操作ができる
  3. カメラ・鉗子は手ブレすることがなく、より安定した操作が可能となる

従来の腹腔鏡手術と比べて、合併症の発生率や入院期間、術後の痛みなどの治療成績が向上することが証明されているわけではありません。
しかし、ロボットの助けによって、外科医がより安定した手術操作を行うことができるようになります。

かつては「自由診療(自費診療)」として行われていましたが、このたび保険診療の範疇で行えるようになり、患者さんにとっては、ロボットを用いた精度の高い手術が通常の腹腔鏡手術と変わらない費用負担で受けられるようになりました。

“腹壁瘢痕ヘルニア”にも対応

過去の手術の傷あとが時間が経つにつれて弱くなり、鼠径ヘルニアと同様に内臓が飛び出すようになった病態を、“腹壁瘢痕ヘルニア”といいます。
当院では、腹壁瘢痕ヘルニアに対しても、腹腔鏡を用いた“IPOM法”という術式を取り入れています。
最小限の傷で整容性を保ちつつ、根治性も高い手術治療を実践しています。
この術式も専門的な知識と高い技量が求められますが、これまでの経験と技術を生かし、より安全で質の高い手術の提供に努めています。

ヘルニアかなと思ったら

当院は“ヘルニアセンター”を設置しており、専門的な知識と経験を持つスタッフが患者さんのご不安にしっかりと寄り添います。
診断にあたっては、問診や視診、触診に加えて、超音波(エコー)検査やCT検査なども用いて詳細な病状を把握します。
鼠径部に腫れがあるなど何か気になる症状があれば、当院の“ヘルニア外来”へお気軽にご相談ください。

ヘルニア外来について

毎月第2・4火曜日の午後、ヘルニア外来を設けております。
ヘルニア外来では、鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアだけでなく、ストマ(人工肛門)外来も兼ねております。
電話での予約はもちろん、このホームページからもWEB予約をすることが可能です。